− 「旅」について −


「旅することは生きること」
これは、デンマークの童話作家アンデルセンが残した言葉です。
と言いつつ、実は僕もつい最近まで知らなかったのですが、
僕が長い間、形容できなかった思いが、
この一言に集約されている気がしました。


なぜ、旅に出たくなるのか。
しかも、時にたった一人で。
人それぞれ、様々な理由があるとはいえ、みんな、
失ったものを懐かしく思い出してみたり、
逆に何かを忘れたい、何もかも捨てて一からやり直したいなど、
そんな「時空の交錯」を求めているのかもしれません。


単に、知らない何かに期待しているだけかもしれません。
でも、それは旅をすれば、自ずと分かることです。
確かに、そんな気持ちで出掛けることは少なくありませんでした。
そして失ったものもありますが、しかし多くを得ました。


そして何より、自分を知ることが出来ました。
時に恥ずかしく思い、時に絶望的にもなりますが、
背伸びもしない、卑屈にもならない、
等身大の自分に出会うことは、
まさにそれこそが旅の醍醐味であり、待ちわびていた親友に
やっと出会えたような気持ちにさえなります。

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